日本緑化工学会誌
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特集
特集「中国乾燥地における緑化技術とその将来」(V)
「緑化思想」とその解体―中国内モンゴルの緑化の現場から
児玉 香菜子
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2008 年 34 巻 4 号 p. 610-612

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抄録

「砂漠に緑を」,「砂漠緑化」などのキャッチフレーズの下,乾燥地を対象とした緑化の多くがボランティアを中心にして植林という形で実施されている。一方で,この緑化そのものが自然環境に負荷をもたらす危険性が指摘されている。こうした現象がおきる背景には,「緑化はいいことだ」,「緑化すべきである」という,緑化行為を無批判に是とする価値観ともいうべき思想があるからではないか。本稿では,シンポジウムで報告した内容と議論をもとに,中国内モンゴルの事例から,内陸乾燥地の緑化の前提となる「砂漠化」現象とその原因,緑化実践について,緑化の対象となる地域に暮らす人びとの視点からこの緑化思想の再考を試みる。

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