日本緑化工学会誌
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論文
オオバヤシャブシ(Alnus sieboldiana Matsum.)の優占する緑化法面における正味のCO2 固定量の推計
橘 隆一藤江 幸一千束 智宏福永 健司太田 猛彦
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2010 年 36 巻 1 号 p. 3-8

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抄録

緑化後14年経過したオオバヤシャブシ(Alnus sieboldiana Matsum.)の優占する緑化法面において植物バイオマスとリター,および生育基盤によるCO2 固定量を推計した。その結果,CO2 固定量は,1 m2当り,幹部分で21.0 kg,枝部分で4.2 kg,根部分で5.5 kg,リターで1.7 kg,生育基盤で8.8 kgとなった。内訳では,幹と枝による地上部バイオマスで61.3 %を占め,次いで生育基盤で21.4 %,根による地下部バイオマスで13.3 %,リターで4.0 %の順であった。さらに,法面緑化工事にかかるCO2 排出量を考慮した上で,正味の累積CO2 固定量を推計した結果,金網張工に植生基材吹付工を組み合わせでは,緑化後11年で炭素収支がプラスに転じ,緑化後30年で80.6 kg CO2 m-2だった。一方,金網張工と現場吹付法枠工と植生基材吹付工の組み合わせでは,法枠の大きい場合,小さい場合にそれぞれ緑化後19年,28年で炭素収支がプラスに転じ,緑化後30年でそれぞれ11.3,0.3 kg CO2 m-2 だった。

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