抄録
エチゼンクラゲや食用クラゲなどのクラゲ類を脱塩・乾燥しチップ化したクラゲチップは,自重の約 8 倍の水を吸収するという保水性に優れ,保水機能の低下後は微生物などによって分解され,化学肥料並みの窒素含有量を含むなど肥料効果が認められる。さらに製材の際にでるオガクズも分解のやや遅い有機質の保水材として着目し,この両者の保水性と遅効性の肥料効果を活かして種子吹付工の資材に組み込んだ有機緑化資材を開発した。林道切取りのり面での半年間の実験の結果,植生の発芽や生育状況が無施用区に対して,有意な差を示し,その有効性が確認された。今後,周辺環境に対する負荷の少ない有機質のり面緑化用資材としての活用が期待できる。