抄録
滋賀県田上山の山腹緑化工施工地において,植生回復状況の把握を目的として空中写真判読,航空レーザ計測および毎木調査を行った。植栽後20年以降は植生による被覆率は大きく変化しない一方,植栽後36,37年目で平均樹高の減少・林冠木の樹高の不均一化・林分構成種の変化が示唆されたほか,植生分布および現地調査の経年変化ではマツ林から広葉樹への移行が観察された。これらから35-40年目付近でアカマツ林から広葉樹林への移行が生じることで林分としてのバイオマスが一時的に低下するものの,一度成立した林分は衰退することなく遷移が進行していること,また広葉樹への推移の谷部からの進行が示唆された。