抄録
畦畔植生の修復を目的に,既存の圃場基盤整備畦畔に他の畦畔表土を移植する手法について検討した。栃木県市貝町の畦畔表土を用い,30 cm 四方の表土ブロックを深さ5 cm および10 cm あるいはマット状および撹拌して移植する条件区を設定し,その後の発芽・出芽状況を記録した。種数には大きな差は認められず,全体に帰化率も低かった。生活型による優占度では,マット区の方が撹拌区よりも在来種多年草の割合が高く,これはマット区ではシバが多くなったこと,また撹拌区では一年草の埋土種子が多く発芽したことに依る。ただし,種組成的には類似していた。また,採取表土の深さによる差はほとんど認められなかった。