抄録
近年のシカ生息数の増加に伴い,著者らが平成14 年から獣害防止用として適用していた亀甲金網付き養生マットでは食害を完全に防げないことが明らかとなった。そこで,目合35 mm,高さ15 mm のポリエステル製の特殊ネットを活用する工法を開発した。これをシカによる獣害が多くみられる宮崎県延岡市において,平成23 年10 月に試験施工を実施した。施工後,植生状況と法面内へのシカの侵入状況の観点から追跡調査を行った。その結果,従来工法より植被率1.3 倍,成長量(草高)2.1 倍であった。特殊ネット施工法面では根元まで採食された植物はなく,植生は良好であった。また,施工法面内でシカのフンや足跡は見られなかった。以上より,特殊ネットと養生マットの併用により,シカによる食害や侵入を防ぐ要因の1 つとなることが考えられる。