人工林の大規模風倒かく乱跡地における天然林再生において,風倒後に地拵えや風倒木搬出を行わない「倒木残置」は重要な効果を持つが,林冠の有無が林床の微細地形の物理環境や植物の定着に与える影響は未解明である。風倒かく乱を受けたトドマツ人工林において,5 種類の微細地形で環境変量および維管束植物種を調査し,林冠の有無が林床の微細地形上の環境と種組成に与える影響と,倒木残置することによるトドマツ・ミズナラ林の再生可能性を評価した。その結果,(1)風雨や日照が微細地形の物理環境に与える影響を林冠が緩和し,再生してくる植物の種組成に大きな変化をもたらすこと,(2)トドマツは倒木残置による天然更新が期待できるが,林冠が消失した場合はミズナラの天然更新は困難であること,が明らかとなった。