2014 年 40 巻 1 号 p. 66-71
デジタル画像から抽出した色彩学的指標(L*a*b*)を用いて 2ヶ年におけるヤマザクラ 50個体の樹冠色変化を比較し,樹木の開芽特性について年による差異を検討した。集団内の L*a*b* の推移は現地観察による開芽進行過程とよく対応しており,開芽特性の個体差の把握に有効であることが示された。2010年と 2011年における L*a*b* の標準偏差推移の大きさとパターンは,タイムラグ日数で補正し両年を並べるとほぼ一致することが確認された。標準偏差の最大日において 2010年と 2011年の L*a*b* 値の順位を比較したところ,それぞれで高い相関がみられ,開芽進行過程に伴う樹冠色変化の早晩性は年によらず比較的安定した性質であることが示唆された。