本研究では,地球温暖化がナンコウバイの開花,開芽フェノロジーにどのような変化を与えるのかを事象的に証明することを目的として,高温環境でナンコウバイの育成実験を行った。2011 年5 月10 日,6 月14 日,7 月19 日,8 月23 日に分けて,2 つの条件のグロースチャンバー(外気温区,3 ℃加温区)にナンコウバイを搬入した。その結果,2 年連続で加温区では全体的に開花,開芽時期が早まり,開花可能温度及び開芽可能温度の上昇があった。また,加温区において2011 年8 月,9 月頃に不時落葉する個体が発生し,これらでは2012 年の花芽数,開花数が減少した。以降の観測では,加温開始時期による開花,開芽フェノロジーの差異はなくなったが,加温区の一部の個体で2012 年の開芽,2013 年の開花,開芽が加温区の他の個体に比べて2 週間程度遅れた。