日本緑化工学会誌
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特集
特集「外来種と植生管理」 森林表土利用工による緑化のり面に成立した草本群落の 6 年間の変化
久保 満佐子飯塚 康雄大貫 真樹子松江 正彦栗原 正夫細木 大輔
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2014 年 40 巻 2 号 p. 324-330

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抄録

2007年に森林表土利用工による緑化が行われた国営明石海峡公園にある切土のり面において,施工当年から施工後 6年目の 2012年まで,成立した植生の種組成と木本の個体数および樹高を調べた。その結果,植被率は当年から約 95%と高く,当年には一年生草本のオオイヌタデが優占し, 2年目から 6年目までは替わってセイタカアワダチソウやヨモギ,ススキなどの多年生草本やつる性木本のクズが優占した。木本個体数は,施工当年は 2.2個体/m2あったが年とともに減少し, 6年目には 1.3個体/m2になった。本調査のり面では施工当年から継続して群落高約 2mの草本が密生するため,その下で生育する木本は初期に枯死し,新たに定着する種も少なかった。本調査地はセイタカアワダチソウの飛来種子が多い地域にあり,こうした地域で森林表土利用工による施工を行う場合は,事前の調査によって工法の適否を判断することや,施工後初期の植生管理を考慮に入れる必要がある。

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