2015 年 41 巻 1 号 p. 97-102
京都下鴨神社の社叢,糺の森全域において2002年と2010年に実施した幹直径10 cm 以上の全樹木対象の毎木調査結果から,アラカシ,シラカシの断面積成長量に対する初期サイズおよび周辺競争個体の影響を検討した。その結果,アラカシ,シラカシのいずれも断面積の初期値と断面積成長量は有意な正の相関を示した。アラカシでは半径6 m,シラカシは半径8 m 範囲内までに位置する競争個体が対象個体の成長に影響していた。アラカシでは初期サイズと周辺の競争個体からの被圧の2要因による成長への影響が強く見られ,これらを説明変数とする成長モデルの説明力は54%であった。一方,シラカシでは41%にとどまり,他の要因の影響も示唆された。