抄録
近年,台風等による森林災害が増加しており,森林の災害に対する抵抗力を増加させるために森林整備が必要とされている。その一つが間伐である。しかし,樹木の風倒や土石流被害に対する抵抗力と間伐の関係は不明な点が多い。そこで本研究では,間伐後 17年が経過したスギ間伐区と隣接する対照区において引き倒し試験を行い,間伐が抵抗モーメントに及ぼす影響について確認し,その影響因子について解析した。また地上部パラメータとして胸高直径 (DBH) ・樹高 (H) ・樹冠幅を,地下部パラメータとして土壌硬度,根返りの際の回転中心の位置とその深さ,根鉢半径を測定した。その結果,間伐区と対照区では抵抗モーメントと材積 (H × DBH2) の関係式が異なり,間伐によって抵抗モーメントが増加することが明らかになった。また,間伐が抵抗モーメントを増加させる要因としては,樹木の地下部の関与が考えられ,根鉢直径は間伐によって大きくなった。これらのことから,間伐によって根の成長が促進され,抵抗モーメントの増大につながることが示唆された。