2017 年 43 巻 1 号 p. 324-326
現場に立ち入らずに近景の植生調査(種同定および植被率の測定) をすることを目的として,ジンバル付長軸ポールカメラを製作し,湿地植生のモニタリングを行った。ポールを 5m に伸ばした状態では 1人での撮影は困難だったが,撮影とその後の画像判読にかかる時間,得られる情報の質は,直接観察とほぼ同等と考えられた。結実・開花のない個体以外の種同定と植被率の測定により,湿地植生の再生初期の変化を捉えることができた。植生の直上と内部で連写する,調査区外の植物標本で種同定を行っておく,といった工夫をすることで, 5m 程度までの近景における植生の再生状況を非かく乱でモニタリングするには適した方法であるといえる。