日本緑化工学会誌
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論文
異なる乾燥条件下で育苗した南米半乾燥地のマメ科3 樹種の当年生実生の耐乾性評価
井上 裕太田中 憲蔵玉井 重信山本 福壽山中 典和市栄 智明
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2018 年 43 巻 3 号 p. 499-508

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抄録

ブラジル北東部のCaatinga 植生の主要樹種であるMimosa hostilis Benth.とM. verrucosa Benth.,緑化樹種として導入されている外来種のProsopis juliflora DC. の当年生実生苗の乾燥耐性を比較した。対照区(-0.005 MPa),弱乾燥区(-0.01 MPa),強乾燥区(-0.1 MPa)の3 段階の土壌水分条件下で,樹高,乾物重量,器官別の資源分配,葉の水分生理特性,蒸散量を測定した。3 種とも,対照区と比べて弱乾燥と強乾燥区において乾物重量,成長量は有意に低下したが,外来種のP. juliflora で低下割合が最も小さかった。一方,M.hostilis は2 つの乾燥処理区において樹高成長量の低下割合が最も大きかった。葉の耐乾性の指標となる,葉肉細胞が初発原形質分離を起こすときの水ポテンシャルの値も,P. juliflora が最も低く,乾燥条件下でMimosa属 2 種よりも高い浸透調節能力を示した。また,P. julifloraMimosa 属 2 種よりも,対照区を含む全ての処 理区で個体重当たりの葉重,葉重/根重比,蒸散量が有意に低く,乾燥処理区における純同化率と水利用効率が有意に高かった。以上より,当年生実生段階では,外来種であるP. juliflora は在来優占種であるMimosa 属 2樹種よりもCaatinga 植生のような乾燥環境下で有利な葉の耐乾性,資源分配特性を持つことがわかった。今後,気候変動による乾燥化が進めば,水資源の更なる競合が生じ,樹木の更新に重要な実生段階において,より耐乾性の高いP. juliflora の分布が拡大する可能性が考えられる。

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© 2018 日本緑化工学会
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