2018 年 44 巻 2 号 p. 365-370
中国内モンゴル自治区に広く分布する白干土は,固い炭酸カルシウムの不透水層を形成し根系の伸長を阻害するなど,植物の生育には不向きである。このため,土地が荒廃化しても生態環境の修復は困難となっている。現地では,大苗を植栽し多量の潅水を継続的に行っているが,生態環境の修復再生はほとんど進んでいない。そこで,本報告では,白干土において低潅水条件下で保育ブロック苗を用いて樹木を導入する手法を検討した。白干土への適合性の高い樹種は,施工1年2か月後の活着率をみるとニレ(Ulmus pumila L.)が最も高い97.8%を示し,ライラック(Syringa oblata Lindl.)が84.4%,モモ(Prunus persica Batsch)が52.3%,他の5種類の樹木の活着率は40%以下だった。白干土に適合性の高いU. pumila(ニレ),P. persica(モモ),S. oblata(ライラック)などの樹種を植栽することにより,白干土において低潅水条件下で樹木を導入することが可能であるとの見通しを得た。