平成21~24年度の4年間に実施されていた,全国の国直轄道路事業における植物移植および移植後のモニタリング結果を分析したところ,多年草の移植が最も多かった。移植後における多年草の種ごとの活着率を比較すると,ラン科,特にキンラン属については,移植の実績が多いにもかかわらず,活着率が低く,混合栄養植物の移植の困難さが浮き彫りになった。そのため,筆者らは,キンラン属移植の確実性向上のため,自生地播種試験により移植適地を把握したうえで,移植する手法を検討している。今後,国内外の知見や筆者らの研究成果をとりまとめ,キンラン属の保全ガイドとして公表する予定である。