日本緑化工学会誌
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技術報告
種子なし生育基盤と種子定着促進ネットを組み合わせた自然侵入促進工の設計方法
吉田 寛 氏家 豊和
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2019 年 45 巻 2 号 p. 308-314

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抄録

法面に種子なし生育基盤を吹付け,その上に立体構造の種子定着促進ネットを張付けるタイプの自然侵入促進工(工法名:レミフォレスト工法)について,道路土工―切土工・斜面安定工指針(平成21年度改訂版)に示されている施工6ヵ月後の生育判定の目安と,植生管理における施工5年後の植生の状態をクリアすることができる設計方法を検討した。通常の植生基材吹付工を適用した場合に最低5 cmの吹付厚さが必要な南向き岩質切土法面において,生育基盤3 cm厚とネットを組み合わせた施工を行った結果,道路土工指針が定める施工後の状態をクリアでき,自然侵入促進工に求められている性能を満足していた。また,屋外においてコンテナを用いた二因子実験を行い,生育基盤の吹付厚さ(3 cm,5 cm,7 cm)とネットの有無の違いによる生育基盤の体積含水率の変化について2年間の追跡調査を行った結果,使用したネットは生育基盤2 cm厚相当の保水機能を有していた。これらの結果から,通常の植生基材吹付工の設計で導かれる吹付厚さから使用するネットの保水機能相当分の吹付厚さを差し引いて,種子なし生育基盤の吹付厚を設定する設計方法が適用できることが確かめられた。

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© 2019 日本緑化工学会
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