市街地では用地確保が困難であるため,民有地緑化を推進する必要がある。本研究は,大阪府堺市の記念樹配付事業を事例に,その利用実態と効果を明らかにし,事業の今後の展開に資することを目的とした。他市との比較や,地域特性の解析,アンケート調査の結果から,堺市は他市よりも利用が少ない傾向にあることや,住宅地面積が小さいと低木の利用が多くなること,集合住宅や小面積の住宅では鉢植えの割合が多くなることなど,記念樹配付事業の利用実態が明らかとなった。また,9年間に配付された記念樹3,581本の植栽後平均3.0年時点の量的な緑化効果は約0.18 haであることや,緑化意識の向上にも効果のあることが明らかとなった。