滋賀県大津市南小松の江戸期から明治初期にかけて作成された絵図から当時の災害対応の要所である防備林の位置を把握し,今日の植生の特徴を明らかにした。江戸期の絵図では,河川沿いに広がり土砂災害などの被害を受けやすい土地が「荒れ地」とされていたが,明治初期にはマツ林となる「林」に区分されていた。こうした土地は,防備林として重要な場であったと考えられた。植生調査の結果から,今日においても河川周辺ではアカマツがコナラなどの落葉広葉樹とともに主要な構成要素となっていた。一方,常緑広葉樹への遷移も確認され,河川整備や宅地開発などの土地利用の変化,林地の管理放棄が進んでいた。