日本緑化工学会誌
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特集「緑化工学にとっての市民,市民にとっての緑化工学」
市民による里地里山のモニタリング調査の意義とその成果
福田 真由子 藤田 卓小林 彩高川 晋一
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2022 年 47 巻 4 号 p. 443-446

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抄録

日本自然保護協会は地域の市民自身が自然の変化に気づき守る手段になることから市民による里地里山のモニタリング手法の開発をすすめてきた。2003年から「モニタリングサイト1000里地調査」が環境省によって開始され,2005年から日本自然保護協会が事務局を担っている。2017年までの約10年間の調査の結果,各地域の市民が主体となった全国約200か所の里山観測ネットワークが構築され,里地里山における生物多様性の危機的状況を捉えることができた。また,各調査サイトではデータを活用した取り組み事例が年々増加しており,各地域の自然保護活動に活かされている。この観測ネットワークの維持には持続的な調査体制の構築が必須であり,効果的な調査の支援やデータ入力の労力軽減,データの活用と各サイトへの成果還元に力を入れていく必要がある。地域の生物多様性を守るためには,調査による監視を続けて原因を明らかにするとともに,保全対策についても取り組む必要があり,地域の市民が調査に関わる意義は大きい。

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© 2022 日本緑化工学会
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