浮葉植物の過繁茂は,水域の景観や水質,生態系に影響を与える。ここでは,排水処理水を主な水源とする富栄養化した浅水人工池を対象に,スイレンの繁殖状況および底泥の堆積状況の調査結果を示すと共に,窒素,リン収支の算出を試みた。排水処理水である流入水の栄養塩濃度は高く,群落の拡大速度は2014年以降増加し,200 m2/年に達した。2019 年の底泥は,4,500 m2の水域全体において底泥乾燥重量で65 t,有機物で14 t,窒素434 kg,リン87 kg に達した。底泥乾燥重量で4.4 t/年の増加量であり,スイレンの葉茎や更新して枯れた地下茎などが主要因と考えられた。これ以上のスイレン群落の拡大を抑えるためには,年間群落拡大面積である200 m2 の除去が必要とされる。