2022 年 48 巻 1 号 p. 222-225
ダム建設により湛水の影響を受けるウチョウランの保全対策として,1999年から国立科学博物館筑波実験植物園で繁殖を図りつつ,湛水域外への移植を行った。移植方法はA.岩の隙間に移植,B.蘚類の間に移植の2方法とした。移植開始から5年後の活着率は95%,22年後の活着率は33%であった。岩の隙間に移植した方が活着率は高く,実生・分球による繁殖も確認された。移植困難な種が多いとされるラン科植物が20年以上経過しても生育・繁殖していることから,本種にとって移植は有効な保全対策と考えられた。