鹿児島県の民有林における山地災害の実態や発生要因を検討した。1964年から2020年の57年間で8,193箇所の山地災害が発生していた。山地災害の発生に寄与すると考えられる1時間50 mm以上の雨量の頻度は経年的な増加傾向を示した。しかし,山地災害箇所数を災害期間の雨量で除した,単位雨量当たりの山地災害箇所数の上限値は減少傾向にあった。また,災害期間の雨量が1,000 mm以上における山地災害箇所数には経年的な減少傾向がみられたが,同1,000 mm未満における山地災害箇所数には,雨量との明瞭な関係がみられなかった。山地災害箇所数の経年的な減少の要因として,民有林の成長による表層崩壊防止機能の向上と山地災害の復旧事業による斜面防災力の向上が考えられた。