抄録
本研究は,近隣住民の水害対策に関する防災意識と治水緑地との関わりとの関連を明らかにすることを目的とする。本研究は,2022年10月に大阪府にある寝屋川治水緑地の近隣住民へ質問紙調査による横断研究を実施した。この結果,近隣住民の実施している水害対策の個数に最も関連する要因として,治水機能の認知(オッズ比:3.146,95%CI:1.910-5.183)があげられた。また,決定木分析の結果から,治水機能の認知と最も関連する要因として,治水機能の目撃経験があげられた。ベイジアンSEMの結果から,実施している水害対策の個数の増加に直接関連する要因は治水機能の目撃経験であるが,深北緑地と隣接する地域に居住することで目撃経験が増加しやすくなる間接的な関連が示唆された。