2026 年 51 巻 4 号 p. 422-427
島根県三瓶山麓にある西の原に自生するオミナエシの種子発芽力と当年生実生の発生および生残条件を明らかにすることを目的として,恒温機で温度を設定した発芽実験と,圃場で基質および光条件を設定した発芽実験を行った。恒温機では暗黒条件で25℃の恒温と,10℃と25℃を各12時間の変温(以下,10/25℃)とし,圃場では土壌およびリター,炭,真砂土,砂礫の5つの基質に2つの光条件(遮光率22%の明条件と51%の暗条件)を設定した。その結果,恒温機の25℃で種子は発芽せず,10/25℃で22.8%の発芽率であった。圃場では,実生の発生数は明・暗条件共に土壌と炭で多く,砂礫では発生しなかった。土壌と炭では,6月下旬の気温の上昇と継続的な降水を契機として一斉に発生した。発生数が最も多かった暗条件の土壌では発生率が27.3%あり,恒温機のシャーレ上での発芽率より高かったため,乾燥からの急激な水分変化が休眠打破となり発芽しやすくなった可能性がある。しかし,8月の日平均気温約30℃で無降水の27日間に,いずれの条件でも実生は枯死し,夏季の無降水期間がオミナエシの実生の生残に負の影響となった。