2026 年 51 巻 4 号 p. 428-433
都市部に暮らす大学生を対象に,ブナ科植物の認識度や自然との関わりについて調査した。明治大学の講義内で事前アンケートと事後アンケートを実施し,事前アンケートではドングリに関する知識や経験を,事後アンケートでは自然との関わりに関する自由記述を収集した。結果,都市部の学生は代表的なドングリ(クヌギ Quercus acutissima Carruth.,コナラ Quercus serrata Murray,ブナ Fagus crenata Blume)を認識する傾向が強いことが示された。幼少期のドングリ遊びや食経験は認識度の向上に必ずしも結びつかず,都市化による自然との接触機会の減少が識別能力の低下に影響している可能性が示唆された。事後アンケートからは,「幼少」「公園」「祖父母」などの語が頻出し,幼少期の経験や家族との関わりが自然認識の形成に寄与することが示された。また,「環境」「保護」などの語も多く,自然体験が環境意識の向上につながる可能性が示唆された。都市部の学生に対しては,身近な自然を活用した環境教育の機会を提供することで,生物識別能力や環境意識を高めることが重要であると考えられる。