1999 年 25 巻 4 号 p. 355-360
近年, 景観に配慮し, コンクリート擁壁ブロックに植物を導入する事例がみられるようになってきた。同一な植枡および土壌において, 母樹が同じで同一場所で生産された4樹種, アベリア・オオムラサキツツジ・ヘデラカナリエンシス・ヘデラピッツバーグを全国10カ所の南北方向に設置したモデル擁壁に同時に植栽し, 地域毎の成長データおよび気象データを蓄積し, 解析することによって, 擁壁緑化に関する知見を得ることを目的とした。その結果, オオムラサキツツジ・カナリエンシスは北海道において, ピッツバーグは北海道・秋田・沖縄において枯死に至った。樹高成長と相関が高かった気象要因を簡略化することにより得られる因子得点によりD2Hの推定が可能であることが示された。また, 相対的にみて北側擁壁に植栽された個体が優勢であった。