日本緑化工学会誌
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スギ, アキニレ, クスノキにおける樹体内水分量の比較
桑田 孝酒井 克人服部 剛幸瀧澤 英紀吉川 賢
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1999 年 25 巻 4 号 p. 415-420

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抄録

蒸散活動における樹体内水分の生理的・生態的意義を明らかにするため, 地際で切断された樹体地上部の水分量を無給水状態の広葉樹と針葉樹樹体について調べた。樹体重量と葉の水ポテンシャル, 気孔コンダクタンスを計測した結果, 広葉樹 (アキニレ, クスノキ) では針葉樹 (スギ) に比べて吸水や蒸散によって置き換えられる水分の割合が大きかった。また気孔閉鎖を起こすときの葉の水ポテンシャルはアキニレよりスギで高かった。また, 立木時の葉面積あたりの通水抵抗はアキニレよりスギで著しく大きかった。スギは日中の蒸散によって樹体内に生じた水欠差の影響を受けやすいため, 葉内水分の減少過程の早い段階から気孔を閉じることが示唆された。

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