2024 年 41 巻 2 号 p. 41-46
Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Syndrome(RS3PE 症候群)は,比較的急性に発症する,四肢末梢の圧痕性浮腫を伴うリウマトイド因子陰性の対称性滑膜炎をきたす疾患である.著者らは,手より症状が出現した後,経時的に他部位の症状が出現し,典型例となった2 症例を経験した.1 例は発症4 か月半後,もう1 例は発症2 か月後に対称性の下腿浮腫や滑膜炎が出現し,典型例となり診断に至った.両症例とも血液検査で抗CCP 抗体陰性,MMP-3 高値で左右対称性の滑膜炎,四肢の圧痕性浮腫を認めたため,RS3PE 症候群と診断した.RS3PE 症候群は,対称性,多発性の滑膜炎や全身症状を伴っているが,発症初期には片側例や手の浮腫のみを呈する症例もある.手の炎症を診た場合の鑑別診断のひとつとして留意する必要がある.また,RS3PE 症候群と診断した場合には,固形癌や悪性リンパ腫の合併を伴うことがあるため注意を要する.