日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
手根管症候群における腱鞘滑膜へのアミロイド沈着と心アミロイドーシスの関連
御子柴 直紀岩本 卓士清田 康弘鈴木 拓松村 昇佐藤 和毅
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2025 年 41 巻 4 号 p. 317-320

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抄録

手根管症候群は全身性アミロイドーシスの初発症状の一つであり,近年,手根管症候群に対する術中腱鞘滑膜生検のスクリーニングとしての意義が注目されている.2019 年1 月~2023 年7 月に当院で手根管症候群に対して手術を行い,術中に腱鞘滑膜生検を施行した40 症例を対象に,アミロイド沈着と心アミロイドーシスの関連を検討した.循環器内科からの依頼により施行した症例は14 例,スクリーニングとして施行した症例は26 例であった.循環器内科からの依頼症例は14 例中14 例(100%)がアミロイド陽性であった.スクリーニング症例では26 例中10 例(38%)がアミロイド陽性で,特に男性は5 例中5 例(100%)が陽性であり,アミロイド陽性は,高齢,男性に有意に多かった.スクリーニング症例で心アミロイドーシスの診断に至った症例は1 例(4%)であったが,心疾患の診断に至らなかった症例も今後,心アミロイドーシスを発症する可能性があり,術中腱鞘滑膜生検のスクリーニングとしての有用性の評価にはさらなる縦断的研究が必要である.

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