日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
変形性肘関節症に由来する肘部管症候群に対する外科的治療の長期成績
井上 美帆鶴田 敏幸峯 博子
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2025 年 41 巻 4 号 p. 378-382

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抄録

肘部管症候群の原因は種々あるが,変形性肘関節症による骨棘形成は神経を直接圧迫する原因の一つとなりうる.著者らはOsborne 法を行った後,肘部管底の骨棘を切除する方法を行っており,今回その長期成績を報告する.対象は本手術を行い,術後10 年以上経過観察可能であった9 例11 肘とした.男性8 例,女性1 例で,手術時年齢平均51.6±12.4 歳であり,術前,最終調査時にnumeric rating scale(NRS),小指のSemmes-Weinstein monofilament test(SWT),尺骨神経の運動神経伝導速(MCV),筋力,肘関節可動域,Quick-DASH,肘部管底の骨棘再発の有無を調査した.最終調査時,NRS は有意に改善した.SWT,MCV は改善傾向を示したものの有意差はなかった.筋力は有意に改善した.肘関節可動域に有意差はなく,Quick-DASH は有意に改善した.肘部管底の骨棘再発を3 肘に認めたものの,最終調査時Messina の評価はexcellent が8 肘,good が3 肘であった.本法は,肘部管底の骨棘を切除することで神経の十分な除圧が得られ,長期的にも良好な成績であり,肘部管症候群に対する術式の一つとして有用と考える.

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