2025 年 41 巻 4 号 p. 424-428
橈骨尺骨骨幹部骨折の1 例,橈骨尺骨遠位端骨折の1 例に伴う前腕コンパートメント症候群の2 例において,掌側区画圧の評価で,遠位での測定値が近位での測定値よりも高かった.いずれの症例も診断に有用とされる手指の他動伸展時痛が軽度であり,筋量が多い近位の腫脹が軽度であったためと考えられた.掌側区画を深層と浅層で分けて評価して治療する必要はないとする報告もあるが,今回の2 例では深掌側区画の開放が必須であった.前腕コンパートメント症候群の診断時には,同じ区画内でも測定部位により圧が異なる可能性に留意し,その他の身体所見と合わせて評価する必要がある.