2025 年 41 巻 5 号 p. 466-469
Volar lunate facet(VLF)骨片は,volar locking plate(VLP)による支持性が低いと掌側亜脱臼の危険性があることが報告され,近年では背側転位型の骨折型でも危険性が指摘されている.VLF 骨片を有するAO 分類C3 型橈骨遠位端骨折の治療成績とX 線学的評価を調査し,検討した.AO 分類C3 型103 例のうちVLF 骨片を有する56 例(VLF 群)を対象とし,それ以外の47 例を対照群とした.臨床評価として,関節可動域は両群間に有意差を認めなかったが,握力はVLF 群が有意に低かった.X 線学的な術後矯正損失はulnar variance とvolar tilt,radial inclination 全てにおいてVFL 群が有意に大きかった.VLP の尺側支持不足や背側骨片の支持不足が原因と考えられ,プレートの遠位かつ尺側設置と,螺子による背側骨片の十分な軟骨下骨支持が必要と考えられた.