日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
橈骨遠位端骨折におけるvolar marginal rim fragment 整復不良例の検討
高橋 洋平安部 幸雄
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2025 年 41 巻 5 号 p. 470-474

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抄録

当科で経験したVolar marginal rim fragment(VMRF)が整復不良であった5 例と術後再転位を生じた1 例について,VMRF の転位方向に着目して検討した.当科で手術を行った橈骨遠位端骨折464 例を対象とし,VMRF を含む26 例を抽出した.末梢骨片の転位方向,VMRF の傾斜方向の順で,掌側・掌屈をV,背側・背屈をD として分類し,VMRF の整復不良例の骨片の転位方向,サイズ,最終経過観察時の手関節,前腕の可動域を調査した.平均年齢は72 歳であった.5 例でVMRF の整復不良を,1 例でVMRF の術後再転位を認めた.整復不良例のうち4 例がVD 型,1 例がDD 型であり,術後にVMRF が再転位した1 例はVV 型であった.VD 型の転位であること,掌側二重骨折を伴うことが整復不良の危険因子と考えられた.機能評価では整復良好群と整復不良群で明らかな差はなかった.VMRF の整復状態が機能予後に与える影響については今後の検討が必要であると考える.

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