2025 年 41 巻 5 号 p. 543-546
SNAC wrist,SLAC wrist に対する4-corner arthrodesis 後に生じる関節症性変化の詳細な報告は少ない.そこで今回,放射線学的指標を含めた術後成績と臨床成績との関係を10 例11 手で調査した.最終観察時の平均手関節可動域は掌屈28°,背屈42°であり,握力は23kg,Hand20 は20 点,Numeric pain rating scale は2.6,日手会手関節機能評価はexcellent が6手,good が2 手,評価不能が3 手(健側手切断1 手,両側例1 例2 手)であった.臨床成績と関連した放射線学的指標はなかったが,橈骨茎状突起-大菱形骨間距離のみ全例で短縮し(平均6mm),3 例は単純X 線正面像にて橈骨茎状突起よりも近位に大菱形骨が位置していた.本研究においては橈骨茎状突起と大菱形骨のインピンジメント症状を訴えた症例はなかったが,短縮の経時的進行により今後発生する可能性があり,長期間にわたる経過観察が必要である.