2025 年 41 巻 5 号 p. 547-551
著者らはBouchard 結節に対し,シリコン一体型インプラントを用いて人工関節置換術を行っている.術後経過観察期間が3 年以上の症例93 例138 指を対象とし,全体症例,人工関節種類別ごとにPIP 関節自動屈伸可動域とactive extension-flexion arc,運動時VAS(visual analog scale),握力,DASH score,側屈を比較検討した.全体症例とINTEGRA では,術前と術後3 年以上経過時で側屈のみ有意に悪化したが,他の項目は有意に改善した.全体症例とAVANTA では,術前と術後3 年以上経過時で運動時VAS のみ有意に改善した.他の項目は有意差はないものの側屈以外は数値的に改善した.INTEGRA とAVANTA では,全ての項目で有意差は認めなかった.人工関節別の破損率と再手術率に有意差は認めなかった.シリコン一体型インプラントは,中長期的に見てもBouchard 結節に対して有効な治療法であるが,種類ごとに特徴があり,症例の術前の状態により種類を選択すべきであると考えられた.