2025 年 41 巻 5 号 p. 575-579
80 歳以上の橈骨遠位端骨折術後患者を対象に,二次骨折を生じた群(二次骨折群)37 例と生じなかった群(対照群)101 例に分けて,二次骨折の危険因子について比較検討した.二次骨折群は自宅暮らしで,初回骨折を屋外転倒で受傷した割合が有意に高かった.また,低体重(BMI 18.5 未満)と悪性腫瘍の既往を有する患者の割合が二次骨折群で有意に高かった.二次骨折群の骨密度(YAM 値)は腰椎で66.8%,大腿骨近位部で53.4%であり,対照群と比較して有意に低値であった.二次骨折群の52%に薬物治療が行われていたが,72%が橈骨遠位端骨折術後3 年以内に二次骨折を生じていた.使用薬剤はビスホスホネート(BP)が67%と最も高く,副甲状腺ホルモン(PTH)製剤は6%と低値であった.本研究結果より,橈骨遠位端初回骨折術後に二次骨折を生じた高齢者の特徴を検討することは,二次骨折予防を検討する上で有用と考えられた.