2025 年 41 巻 5 号 p. 582-585
著者らは,2018 年から母指CM 関節症に対してThompson 法を改良し,大菱形骨を全摘後,二重折にした長掌筋腱と大菱形骨から作製したT 字型の骨釘でSuspensionplasty を行うBone Peg Suspensionplasty(以下BPS 法)を施行してきた.今回,BPS 法を施行し術後半年以上経過した患者34 人38 手を対象に術後短期治療成績を検討した.その結果,術後母指列短縮はみられたが,関節可動域やキーピンチ力は有意に改善を認め,良好な成績であった.BPS 法は,骨釘により確実な移植腱の固定が得られ,術後早期に運動が可能かつ人工材料を利用しないという点で母指CM 関節症に対する手術方法として有用な術式の一つと考えられる.