日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
上肢における有茎穿通枝皮弁・脂肪弁症例の検討
高松 聖仁森本 友紀子石河 恵斧出 絵麻濱 峻平
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2025 年 41 巻 6 号 p. 651-655

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抄録

近年,四肢・体幹・顔面と全身において軟部組織欠損以外の種々の病態に対して各種の穿通枝が使用され,多くの報告がなされている.今回,著者らが施行した上肢の有茎穿通枝皮弁・脂肪弁症例100 例について,その使用目的(軟部組織欠損の補填,神経保護・癒着防止または腱剥離後癒着防止),穿通枝の種類,対象疾患,術後成績について調査した.手術時年齢は平均55.0 歳,性別は女性26 例,男性74 例,術後観察期間は平均26.7 か月であった.その結果,使用目的は軟部組織欠損38 例,神経癒着防止・保護51 例,腱癒着防止11 例であった.使用された穿通枝の種類は,指動脈穿通枝65 皮弁・脂肪弁,橈骨動脈穿通枝18 皮弁・脂肪弁,尺骨動脈穿通枝12 皮弁・脂肪弁(重複使用例あり)などであった.上肢における有茎穿通枝皮弁は軟部組織欠損のみならず神経保護・癒着防止症例に対しても多く使用されており,軟部組織欠損および末梢神経に対しては良好な術後成績が得られる可能性が示唆された.しかし,腱癒着防止に対しては今後の検討が必要と考えられた.

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