2025 年 41 巻 6 号 p. 677-681
上肢手術は伝達麻酔での手術が広く行われるようになったが,伝達麻酔手術における入院の要否についての見解は一致していない.手術を日帰りで行うか術後1 泊入院するかを勧める根拠は乏しい.本研究では,アンケート調査を通じて患者視点から上肢伝達麻酔手術における入院の必要性を検討した.アンケートに協力が得られた44 例のうち,8 割以上の患者が後方視的に入院の方がよいと回答しており,若年で同居家族がいる場合を除き,多くの例で入院の方が患者満足度が高いと考えられた.また,中高齢者や手術当日に付き添いがいない患者は,入院での手術の方が患者満足度が向上すると考えられる.入院希望の多くは不安感によるものであり,適切な対応と,可能であれば付き添いなどの支援により,生活の不便を解消することで,日帰り手術でも患者満足度が向上する可能性が示唆された.