透析施設に通院する350 名(調査率40.9%)を対象とし,透析関連手根管症候群の有病率を対象全体と透析期間ごとに調査した.二次解析として手術率,シャント側別比較,男女別比較について調査した.対象全体の左右いずれかの有病率は6.29%,両側有病率は4.0%であった.対象全体の透析期間別の有病率は,透析期間10 年未満で2.52%,10 年以上20 年未満で6.76%,20 年以上30 年未満で15.0%,30 年以上で44.4%であった.有病率は透析期間の長さと関連して増加したが,年齢を調整した場合,透析期間は左右いずれかの有病の増加と関連を認めなかった.シャントと手根管症候群の有病には明らかな関連は認めなかった.男女別で比較すると,男性の有病率は4.09%,女性は10%で女性が有意に高値であった.糖尿病合併群の有病率は4.62%,非糖尿病合併群は7.27%であった.透析関連手根管症候群の有病率は1990 年台と比較して減少している可能性が考えられた.