2025 年 41 巻 6 号 p. 704-707
当院にて伝達麻酔下に掌側ロッキングプレートを用いて手術加療を行った橈骨遠位端骨折症例43 例を対象とし,術後6 時間毎に鎮痛薬投与を3 回行い,夜間および翌朝の疼痛Visual Analog Scale(VAS)を測定した.鎮痛薬としてアセトアミノフェン注射液の静脈内投与を使用した群(A 群)とフルルビプロフェンアキセチル点滴静注を行った群(F 群)の2 群に無作為に分け,夜間および翌朝の疼痛VAS を比較検討した.夜間疼痛VAS(平均±SD)はA 群70.5±31.2mm,F 群68.3±33.6mm,翌朝疼痛VAS(平均±SD)はそれぞれ28.2±29.9mm,18.2±19.8mm であり,いずれも2 群間に有意差を認めなかった.術後採血でも明らかな肝機能障害を生じた症例はなく,橈骨遠位端骨折術後の鎮痛薬としてアセトアミノフェン注射液の投与は有用であると考えられた.