日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
学術集会発表論文
トリアムシノロンアセトニドがばね指患者の腱鞘内線維芽細胞に与える影響の検討
辻村 良賢山中 芳亮田島 貴文内藤 東一郎善家 雄吉酒井 昭典
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 41 巻 6 号 p. 717-722

詳細
抄録

ばね指は手外科で最も一般的な疾患であり,生涯有病率は30 歳以上の非糖尿病患者の2〜3%とされる.ばね指に対する保存療法の一つとして腱鞘内ステロイド注射の有効性が数多く報告されているが,腱鞘に対する機序は不明な点が多い.今回,ばね指患者の腱鞘より線維芽細胞を抽出し,トリアムシノロンアセトニド(以下TA)の分子細胞学的効果発現について,線維化関連遺伝子と炎症性サイトカインを中心に検討した.対象は当院でばね指に対して腱鞘切開術を受けた患者10 名とした.qRT-PCR では,TA 添加によるCol1A1,Col1A2,Col3A1,CTGF,αSMA の発現の抑制を認めた.一方,IL-6,COX-2,NF-κB の発現は抑制を認めなかった.本研究結果より,TA を含むステロイド腱鞘内注射は腱鞘に対して抗炎症作用ではなく,抗線維化作用を発揮し効果を発現している可能性が示唆された.ばね指の治療法として線維化を抑制することが重要と考える.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本手外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top