日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
学術集会発表論文
手指基節骨骨折に対するナックルキャスト固定法の治療成績
石原 啓成西脇 正夫時枝 啓太三戸 一晃堀内 行雄
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 41 巻 6 号 p. 734-737

詳細
抄録

手指基節骨骨折に対してナックルキャスト固定法による保存療法を行い,2 か月以上観察した21 例23 指(成人:骨幹部骨折3 指,基部関節外骨折10 指.小児:基部関節外骨折10 指)の外固定直後のMP 関節屈曲角を単純X 線側面像で計測し,治療成績を評価した.外固定直後のMP 関節屈曲角は平均67°で,全例で指交叉変形なく骨癒合が得られた.成人骨幹部骨折では10°以上の角状変形残存例はなく,屈曲可動域は全例良好であったが,65 歳の1 指で24°のPIP 関節伸展不全が残った.成人基部関節外骨折では,外固定時MP 関節屈曲角が不良であった75 歳の1 指で伸展変形と屈曲制限が残り,5 指でPIP 関節19°以上の伸展不全が残存し,うち4 指は69 歳以上であった.小児では可動域制限や7°以上の角状変形が残った例はなかった.したがって,MP 関節が深屈曲するように外固定し,特に高齢者では外固定中にもPIP 関節の自動伸展を十分に行うことが重要であり,小児基部関節外骨折はナックルキャスト固定法の最も良い適応である.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本手外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top