日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
ステロイド注射後も症状遷延するばね指症状を,とくなが法に工夫を加え,ストレッチで改善させる
大石 崇人大村 威夫黒木 陽介
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2025 年 41 巻 6 号 p. 790-793

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抄録

ステロイド注射後再発するばね指に対し,手術以外の有効な報告は渉猟されない.著者らはDuran 法と「とくなが法」に準じたストレッチを同時に行う変法を患者の希望に応じて施行し,即時的な症状(疼痛,snapping)の改善,および手術回避の有無を調査した.ステロイド注射後手術を勧められて来院し,母指以外のばね指と診断された110 例149 指(平均年齢63.6 歳,女性90 例,糖尿病の既往16%,重症度:Green 分類1 度17%,2 度4%,3 度5%,4 度3%)を対象とした.初診前ステロイド注射は平均2.2 回で,変法指導したのは9.3%(14 例)であった.変法指導後に疼痛が軽減したのは93%,snapping が減少したのは50%であった.手術を回避できたのは変法指導群で57%,変法指導なし群で8%であった.経過観察期間は平均7.1 か月,診断から手術までの待機期間は平均2.8 か月であった.手術回避を目的変数としたロジスティック回帰解析で,変法指導の有無は有意に関連していた.

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