2025 年 41 巻 6 号 p. 797-800
骨性マレットの治療法として,石黒法および石黒変法は簡便かつ有用な方法として広く用いられている.病態としては伸筋腱の機能不全として認識され,伸展不全が問題になることが多く,可動域に注目した先行研究が多い.一方で,骨性マレットは関節内骨折であり,術後変形性関節症の可能性を高めるが,術後の関節症性変化に注目した研究は渉猟しえる限りない.今回,関節固定鋼線の刺入位置が術後関節面に与える影響について検討した.本研究では,抜釘直後と最終経過観察時のX 線画像を比較し,関節症性変化の有無で2 群に分けて,その危険因子について比較検討した.最終経過観察時に関節症性変化を認めた群では,年齢,関節固定鋼線の骨折部通過率が有意に高かった.骨性マレットの治療時には,関節固定鋼線が骨折部を通過しないよう十分に注意することが,術後の関節症性変化の予防に重要であると考える.