2025 年 41 巻 6 号 p. 825-829
関節面が高度に粉砕している橈骨遠位端骨折では,volar locking plate(VLP)による内固定が困難な場合がある.他の固定法として創外固定術があるが,感染や変形治癒等の合併症が散見される.一方で1998 年にBurke らが考案したdistraction plate(DP)は,創外固定術よりも固定性に優れ,感染率が低く,主に海外で良好な機能および画像成績が報告されている.橈骨遠位端関節内粉砕骨折に対し,当院でDP を用いて治療した3 肢3 例の術後成績を検討した.概ね成績は良好であったが,1 年後の平均自動関節可動域で掌屈制限を認め,単純X 線では短縮による矯正損失が生じていた.DP は有効な内固定方法であるが,抜釘後の作業療法や初回手術時の固定方法に改善の余地がある.また,固定性と整復に限界があることを考慮し,その適応については慎重に検討すべきである.