日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
学術集会発表論文
脂肪由来幹細胞の経静脈的全身投与を併用した自家神経移植術の成績
本田 宗一郎赤羽 美香中村 勇太森 灯多田 薫出村 諭
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 41 巻 6 号 p. 830-832

詳細
抄録

末梢神経欠損に対する治療のgold standard である自家神経移植術でさえもその成績は十分とは言えない.そこで自家神経移植術の成績を向上させるために,様々な機序で神経再生に寄与することが報告されている脂肪由来幹細胞(ADSCs)を自家神経移植モデルラットに経静脈的に全身投与し,その有効性について評価した.自家神経移植モデルラットの尾静脈からADSCs とリン酸緩衝食塩水(PBS)を混和した細胞懸濁液を投与したラットをADSCs 群,尾静脈からPBS のみを投与したラットを対照群とした.移植後12 週の時点で,ADSCs 群は対照群と比較して,前脛骨筋の筋湿重量が有意に大きくなっており,複合筋活動電位の終末潜時が有意に小さくなっていた.本研究の結果から,自家神経移植時にADSCs の経静脈的全身投与を併用することで,従来の自家神経移植術以上の神経再生が得られる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本手外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top