日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
指基節骨顆部関節内(単顆,両顆)骨折に対する治療経験
明妻 裕孝川崎 恵吉久保 和俊荻原 陽岡野 市郎工藤 理史
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2025 年 41 巻 6 号 p. 833-837

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抄録

基節骨顆部近位指節間関節内骨折(以下,基節骨顆部関節内骨折)は扱う骨が小さく,固定性,骨壊死,関節の拘縮の観点から治療に難渋することも多い.今回,2011 年1 月以降に本骨折に対して骨折観血的手術を行い,3 か月以上経過観察し得た25 指の画像評価,臨床評価,合併症について検討した.骨折型は単顆骨折15 指,両顆骨折10 指(変形治癒1 例)で,平均年齢は15.9 歳であった.骨癒合は全例で得られていた.PIP 関節の最終平均可動域は屈曲89.8°,伸展-8.8°であり,術後合併症は創周囲のしびれを1 指に認め,拘縮を認めた3 指では授動術を要した.著者らは基節骨顆部関節内骨折に対する治療法について,単顆骨折か両顆骨折か,骨片のサイズ,骨折型,受傷から手術までの期間を総合的に判断して決定している.本研究結果は過去の報告と同程度に良好であった.基節骨顆部関節内骨折の治療は,内固定材料の慎重な選択に始まり,術中の慎重な手術操作,強固な内固定も必要である.以上より,今後も十分な検討が必要な骨折であると言える.

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