2025 年 41 巻 6 号 p. 854-858
著者らは保存的治療に抵抗するEaton 分類stage 3 で,アライメント不良を伴う母指CM 関節症に対してlocking plate を用いたCM 関節固定術を行っており,今回,術後機能の回復過程を経時的に調査し,その治療成績を検討した.2018 年2 月~2022 年2 月に施行した11 例11 手を対象とし,術前,術後3 か月・6 か月・12 か月時の患側母指可動域,握力,ピンチ力,Pain visual analogue scale(VAS)(安静時・運動時),DASH スコア,Hand20,Kapandji スコアを調査した.握力,ピンチ力,DASH スコアは術後12 か月,Hand20 は術後6 か月で有意に改善した.Pain VAS は安静時・運動時共に術後3 か月時より有意な改善を認め,術後6・12 か月でさらに改善した.母指掌側外転角は術後12 か月で有意に改善したが,母指橈側外転角,MP 関節可動域,Kapandji スコアは有意差を認めなかった.Locking plate を用いることで強固な固定が可能となり,術後早期での回復が期待された.本法は術後早期より高い除痛効果が得られるが,筋力の有意な改善には術後12 か月,患者立脚型評価の有意な改善には術後6 か月を要し,予想以上に回復まで時間を必要とすることがわかった.本研究結果は術前後の患者説明時の参考となる可能性がある.